BEFORE
AFTER


ウレタン通気緩衝工法は、建物の屋上やバルコニーなどに使用される防水工法の一つで、特に下地の動きや湿気の影響を受けやすい箇所に適した施工方法です。通気緩衝シートを用いることで、下地からの水蒸気を逃がしつつ、ウレタン塗膜による防水層を形成するため、耐久性と安定性に優れています。
メリット
最大の利点は、下地の水分や湿気による膨れ・剥がれを防げる点です。通気緩衝シートが水蒸気の逃げ道となるため、密閉性の高いウレタン塗膜でも安心して施工できます。これにより、既存の下地に含まれる水分が原因で起こる防水層の不具合を大幅に軽減できます。
また、ウレタン塗膜は継ぎ目のない一体型の防水層を形成できるため、複雑な形状の場所にも対応可能です。柔軟性が高く、下地の微細な動きにも追従しやすいため、ひび割れのリスクも抑えられます。さらに、施工後の仕上がりが美しく、トップコートの選定によって艶や色味の調整も可能です。
加えて、改修工事にも適しており、既存の防水層を撤去せずに施工できるケースが多いため、工期短縮やコスト削減にもつながります。騒音や粉塵の発生も少なく、居住者への影響を最小限に抑えられる点も魅力です。
デメリット
一方で、施工には高度な技術が求められます。通気緩衝シートの貼り付けや脱気筒の設置など、通常のウレタン防水より工程が多く、施工不良が起きると本来の性能を発揮できません。信頼できる施工業者の選定が非常に重要です。
また、材料費や施工費は一般的なウレタン密着工法より高めで、初期費用がかさむ傾向があります。さらに、施工環境によっては乾燥時間が長くなることもあり、天候に左右されやすい点も注意が必要です。
総じて、ウレタン通気緩衝工法は、長期的な防水性能と安定性を重視する建物にとって非常に有効な選択肢です。特に、下地の状態に不安がある場合や、改修工事で確実な防水を求める場合には、検討する価値のある工法と言えるでしょう。



